最終更新:2015/07/27 11:46:39 JST

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TeX設定(Windows編)

LuaLaTeXに乗り換えたため,pLaTeX関連の備忘録は必要なくなりました.長らく行進も行っていませんので,かなり古い情報になっています.おそらく参考にならないと思われますので,そのうち非公開(パーミッションを600に切り替え)にする予定です.

以前に投稿論文を作成する時に一度使ったのですが,それ以来放置してありました.ところが,統計学の講義を担当することになり,数式が山のように出てきて,こりゃワープロで資料を作るのは無理じゃろということで,遅まきながらTeXを使い始めました.MacとWinのクロスプラットホーム環境で仕事するのにはプレーンテキストで仕事ができるTeXはちょうどいいですね.

後は,ごくごく些細な理由ですが,私の苗字の「土+口」のいわゆる下長の「吉」がOpen Type Fontを使ってやると異体字としてきちんと表示できるので,本格的に乗換えかな(笑).とはいえ,周りはWordユーザばかりなので,前途多難ですわ…

インストール

基本的には「ダウンロード」→「ダブルクリック」でインストールできるものを利用させていただきました.

阿部さんのインストーラを利用すると必要なファイルをインストールしてくれます.圧縮ファイルをダウンロードするのでインストール時にはネットに接続した環境が必要だったはずです(記憶が薄れています,申し訳ないです).

TeXの全般的な情報は三重大学の奥村さんのところのTeX Wikiを参考にさせていただきました.それ以外はやはりGoogle先生に尋ねるのが一番でしょうか(笑).実際のところ,かなり頻繁にキーワードを変えてGoogleで検索して設定などの情報を入手しました.

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エディタ・統合環境

まぁ,それこそTeXはXHTMLなどと同じようなタグ言語の一種なので,馬力さえあれば,Windowsならメモ帳アプリとコマンドプロンプトさえあれば作成可能です.ただ,山のようにあるTeXコマンドを手打ちするのは面倒なので,やはりTeXに特化したエディタを利用するのが便利だと思います.

エディタは個人の好みもあるので,いくつか試してみて一番自分の手になじむものを利用するのがよいと思います.私の個人的な好みだと,Shift JISだけで作成するのならEasyTeX,utf8で作成するのならtexmakerですね.特に私の場合は最初WindowsだけでTeXを利用していましたが,Macでも使うようになり,texmakerに乗り換えた形になっています.ちなみに現在はWindowsでもTeXファイルはutf8で作成しています.

Texmakerはutf8が利用できるので異体字が扱えること,クロスプラットホームなのでMacとのやり取りが簡単というメリットがあり,利用しています.メニューを日本語化するために田中健太さんが日本語化キットを提供してくださっていたのですが,リンクを外されたようですので,掲載を取りやめました.なお,自己責任ですが,既にお持ちの方は最新版の3.3.4に必要ファイルをコピーすれば日本語化可能です.

ただし,Windows XP+IME2002の環境では,文書作成中に日本語変換するとハイライトの背景色が黒のため文字色と同化して見えなくなるという問題があります(二回変換して変換候補が表示されれば何とかなります).そのうちバージョンアップで直るだろうと思って使ってます.IME-2010に変えてみましたが,状況は同じです.どうもOSをWindows 7にでもアップしないと,どうにもならないのかもしれません.

と,あきらめながら使っていましたが,修正したものをアップしてくださった方がいらっしゃいました.まさにネ申です.

なお,Texmakerでutf8を利用する場合は,「オプション」の「Texmakerの設定」のウインドの左側の一番上の「コマンド」を選んで,次の設定を行っておくとutf8のファイルがコンパイルできるようになります.

LaTeX
platex -no-guess-input-enc -kanji=utf8 -synctex=1 -src-specials -interaction=nonstopmode -jobname=% %.tex
あるいは
platex -kanji=utf8 -interaction=nonstopmode %.tex
dvips
dvips -Ppdf -o %.ps %.dvi
pbitex
pbibtex -kanji=utf8 %
Makeindex
jmakeindex %.idx
Dvipdfm
dvipdfmx %.dvi
PDFビューア
外部ビューアを選択し,自分のビューアにパスを設定

また同じ「Texmakerの設定」ウインドの左側の真ん中の「簡単コンパイル」を選んで,「簡単コンパイルのコマンド」を「LaTex + dvipdfm + PDFファイルの表示」を選択しておきました.

私の利用している環境では,上記の設定でutf8ファイルを編集,コンパイル,PDF表示ができています.dviでの表示は使用していません.

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OTFの利用

その1

一般にWindowsでは,はしごの「高」や下長の「吉」などの異体字は通常は外字として利用されてきました.これに対してMacintoshなどではOpen Type Fontが利用可能となり,異体字も利用可能になっています.TeXではOTFパッケージを用いることで,これらのフォントが利用可能になります.

金をかけずに利用するためには次のようにすると何とかなります(フォントを埋め込む設定です).試行錯誤で設定したところもあるので,不要な設定が含まれているかもしれません.

  1. Adobeの日本語フォントパック(Adobe Reader X Font Packs - Japanese)をダウンロード(当該ページの下のほうにあります)してインストール
  2. w32tex\share\texmf\fonts\opentype\Adobeに,Adobe ReaderのCIDフォントがあるフォルダ(おそらくC:\Program Files\Adobe\Reader 10.0\Resource\CIDFontあたり)にあるKozMinPr6N-Regular.otfKozGoPr6N-Medium.otfへのシンボリックリンクを作成(Adobeフォルダはなかったので作成)
  3. w32tex\share\texmf\fonts\map\dvipdfmx\base\cid-x.mapに次の設定を追加
    	rml         H               Ryumin-Light
    	rmlv        V               Ryumin-Light
    
    	gbm         H               GothicBBB-Medium
    	gbmv        V               GothicBBB-Medium
    
    	hminr-h     H               Ryumin-Light
    	hminr-v     V               Ryumin-Light
    	otf-ujmr-h  UniJIS-UTF16-H  Ryumin-Light
    	otf-ujmr-v  UniJIS-UTF16-V  Ryumin-Light
    	otf-cjmr-h  Adobe-Japan1-6  Ryumin-Light
    	otf-cjmr-v  Identity-V      Ryumin-Light
    
    	hgothr-h    H               GothicBBB-Medium
    	hgothr-v    V               GothicBBB-Medium
    	otf-ujgr-h  UniJIS-UTF16-H  GothicBBB-Medium
    	otf-ujgr-v  UniJIS-UTF16-V  GothicBBB-Medium
    	otf-cjgr-h  Adobe-Japan1-6  GothicBBB-Medium
    	otf-cjgr-v  Identity-V      GothicBBB-Medium
    
    
    	rml         H               KozMinPr6N-Regular.otf
    	rmlv        V               KozMinPr6N-Regular.otf
    
    	gbm         H               KozGoPr6N-Medium.otf
    	gbmv        V               KozGoPr6N-Medium.otf
    
    	hminr-h     H               KozMinPr6N-Regular.otf
    	hminr-v     V               KozMinPr6N-Regular.otf
    	otf-ujmr-h  UniJIS-UTF16-H  KozMinPr6N-Regular.otf
    	otf-ujmr-v  UniJIS-UTF16-V  KozMinPr6N-Regular.otf
    	otf-cjmr-h  Adobe-Japan1-6  KozMinPr6N-Regular.otf
    	otf-cjmr-v  Identity-V      KozMinPr6N-Regular.otf
    
    	hgothr-h    H               KozGoPr6N-Medium.otf
    	hgothr-v    V               KozGoPr6N-Medium.otf
    	otf-ujgr-h  UniJIS-UTF16-H  KozGoPr6N-Medium.otf
    	otf-ujgr-v  UniJIS-UTF16-V  KozGoPr6N-Medium.otf
    	otf-cjgr-h  Adobe-Japan1-6  KozGoPr6N-Medium.otf
    	otf-cjgr-v  Identity-V      KozGoPr6N-Medium.otf
    	
    ※前半部分は埋め込まない時の設定のようですので,不要かもしれません.
  4. w32tex\share\texmfにls-Rがあれば,コマンドプロンプトからmktexlsrコマンドを入力して更新

OTFの異体字を利用するためには,ファイルをutf8で編集保存していることとプリアンブルで「\usepackage{otf}」で読み込んでやって,本文中に「\CID{13706}野屋」のように書いてやると表示されます.この設定だとPDFにフォントを埋め込むのでどの環境でも文字化けせずに表示できます(確認した範囲内では…).

その2

上記の設定でしばらく平和に過ごしていたのですが(笑),とある学会の全国大会の予稿をTeXで作るかと書式を眺めると「明朝体太字」の指定が… 困るんですよね,ゴシック体でよいではないかと無視しようかと(笑)思ったのですが,まぁ時間も幸いあったので設定し直してみました.

そもそもAcrobat付属のフォントは明朝体,ゴシック体各1種類なので,太字の設定は無理です.というわけでフォントから探すことにしました.条件はもちろん「ただ」です(笑).そんなうまい話は…,ありました!Y.Oz VoxさんのMogaMoboフォントです.なんとフリーにもかかわらず,明朝体太字に対応です!!

作業としてはフォントの自己解凍形式のファイルをダウンロードして解凍.インストールダはw32tex\share\texmf\fonts\truetypeの下にフォルダを作成して実行.ただしcid-x.mapの改修が必要です.流用していたフォントの部分をコメントアウトして,mogaフォントに対応する部分を追加です.注意事項としては,mogamoboフォントは複数のtrue typeフォントを束ねてあるので,インデックスで何番目を使うかを指定す必要があります(下の例の「:1:」がその部分です).ちなみに各ttcファイルをダブルクリックすれば閲覧できるので,使いたいフォントのインデックスを数字で指定すればOKです(0から始まるところだけ注意です).

%MoboMoga font
rml         H               :1:mogam.ttc
rmlv        V               :1:mogam.ttc

gbm         H               :1:mogag.ttc
gbmv        V               :1:mogag.ttc

otf-ujmr-h  UniJIS-UTF16-H  :1:mogam.ttc
otf-ujmr-v  UniJIS-UTF16-V  :1:mogam.ttc
otf-cjmr-h  Identity-H      :1:mogam.ttc/AJ16
otf-cjmr-v  Identity-V      :1:mogam.ttc/AJ16
hminr-h     H               :1:mogam.ttc
hminr-v     V               :1:mogam.ttc

otf-ujmb-h  UniJIS-UTF16-H  :1:mogamb.ttc
otf-ujmb-v  UniJIS-UTF16-V  :1:mogamb.ttc
otf-cjmb-h  Identity-H      :1:mogamb.ttc/AJ16
otf-cjmb-v  Identity-V      :1:mogamb.ttc/AJ16
hminb-h     H               :1:mogamb.ttc
hminb-v     V               :1:mogamb.ttc

otf-ujgr-h  UniJIS-UTF16-H  :1:mogag.ttc
otf-ujgr-v  UniJIS-UTF16-V  :1:mogag.ttc
otf-cjgr-h  Identity-H      :1:mogag.ttc/AJ16
otf-cjgr-v  Identity-V      :1:mogag.ttc/AJ16
hgothr-h    H               :1:mogag.ttc
hgothr-v    V               :1:mogag.ttc

otf-ujgb-h  UniJIS-UTF16-H  :1:mogagb.ttc
otf-ujgb-v  UniJIS-UTF16-V  :1:mogagb.ttc
otf-cjgb-h  Identity-H      :1:mogagb.ttc/AJ16
otf-cjgb-v  Identity-V      :1:mogagb.ttc/AJ16
hgothb-h    H               :1:mogagb.ttc
hgothb-v    V               :1:mogagb.ttc

で後はいつもの如くおまじないの「mktexlsr」をコマンドプロンプトから実行したらできあがりです.ちなみに付属のインストーラでインストールすると自動的にwindows\fontにリンク(ショートカット)が作成されていました.ということなんで,本体をこっちにインストールしてTeXはリンクでもよいのだろうと思います(試していませんが…).

補足(2014年02月20日追記)

月日の流れるのは早いもので,上記のotf関連の話をアップした時は2011年でした.XPからWindows7への移行で作業していると,2013年版のw32texはフォルダ名なんかも変わっていました.浦島太郎状態です(笑)

2013年版のw32texではw32tex\share\texmf-dist\fonts\map\dvipdfmx\base\cid-x.mapにヒラギノフォントを利用する設定があって,私の環境ではヒラギノフォントがないためplatexでコンパイルすると,pdfファイルを作成するところでエラーになるという状況でした.まぁダメもとで(笑)MogaMoboフォントを上記と同じフォルダ階層にコピーして(シンボリックリンクでも問題ないと思いますが)cid-x.mapの一番最後(コメントアウトするのが面倒なんで)に上記のフォントの設定を追加してやるとうまく動きました.自己責任でお試しください.

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情報源など

参考にさせていただいたサイトです(順不同).

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このサイトに関するお問い合わせは,連絡先のページをご覧ください.
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http://www.sip-ac.jp//sip/tex01.html,    2001 Ayumi Yoshikawa
主観情報処理研究所